小春日和の散策にはうってつけの日、「ボーダレス・エリア近江八幡芸術祭 ちかくのまち」関連イベント、「ヒラトモさんとめぐる!ぐるり町歩き会」が行われました。
参加者のみなさんと一緒に、展覧会場や町中を美保さんガイドをお供に巡りました。
ヒラトモワールドにようこそ!
このイベントの依頼を受けたのは、緊急事態宣言解除後一旦押さえ込まれたコロナ感染者数が徐々に増えてきた7月中旬。世の中はまだまだ先の見えない不安の中。
ご両親やLa Manoスタッフも依頼をお受けするのは慎重な気持ちでしたが、ヒラトモさんのイベントをやりたいという強い気持ちを尊重して、開催日の二週間前に最終判断をする事を決め開催に向けた準備が始まりました。
実はヒラトモさん、コロナウイルスをとても怖がっており、大好きな公共の乗り物に乗ることも控えていたほど。そんな怖い気持ちを克服して近江八幡のボーダレス・アートミュージアムNO-MAにやってきたのでした。
イベント開始時間10時30分前に本日の主役ヒラトモさんが登場、マスクにフェイスシールドを装着。フェイスシールドはコロナの不安を解消するためにご家庭でご用意頂いたもの。もし、息苦しかったり話しにくかったりしたら付けなくてもいいことを事前に提案していたのですが、やはり不安があったのでしょう。
でも、館内で話が乗ってきたらじゃまになったのかフェイスシールドは外し、その後の町歩きではフェイスシールドを付けるというマイルールを決めたようでした。
どちらかというと逆のような…
コロナ対策バッチリのヒラトモさんでした!
参加者3名の方(埼玉から来てくださった方も!)、NO-MA記者クラブの方、イベント担当の松井さん・山口さん、展覧会担当の横井さん・山田さん&ファミリー、平野家ご一同と私、みんなで自己紹介をし、ヒラトモさんの作品のキャラクター美保さんがぬいぐるみ型の音声ガイドになった「美保さんガイド」を首から提げ、まずは館内の作品巡りが始まりました。
早速ヒラトモさんは案内パネルの土足(靴のこと)マークに美保さんの土足をタッチ!!
神妙な顔つきで音声ガイドを聴いている模様。そのときだけヒラトモ節はちょっとお休み。
昨年のボーダレス・エリア近江八幡芸術祭「ちかくのたび」以来、美保さんガイド効果で他の作家さんの展示に興味を持つようになったヒラトモさん。以前は自分の作品しか興味がなかったのですが、美保さんガイドによって自分とは違う表現世界への扉が開いたのでした。
美保さんガイドの恩恵を一番受けたのは、実はヒラトモさんだったのです。
一階のヤマガミユキヒロさんの作品をとても気に入ったヒラトモさん。
それは鉛筆で描かれた風景画に実際の映像が重なる幻想的な作品。額装された鉛筆画から、一日の光の移り変わりや行き交う人々、電車の発着などの日常の風景があふれ出し、映画のワンシーンのようにイメージが膨らみます。
ヒラトモさんは「新宿だな」「自分の影を見てごらん」とじっくり眺めていました。
二階には、昨年の「ちかくのたび」に出展されたヒラトモさんの作品が凝縮されて展示されていました。ヒラトモさんが近江八幡を観光して制作した作品もあります。
一際目を引くのは、美保さんの実物大パネル!!
ヒラトモさんは「フルコースだよ」と大喜び。早速自分の作品を解説します。
そのうち畳の上に(NO-MAは町屋をミュージアムにしています)持参したフランス料理の写真と貨物列車の写真の切り抜きを並べ、フランス料理の写真の裏に、対応する貨物列車の切り抜きをセロテープで貼りだしました。
後日聞いたら「ヒラトモの出番が来ると、なんだか緊張するのよ」と、緊張を和らげるためにお客さんに喜んでもらおうとに事前に準備していたのでした。貨物列車はヒラトモさんにとってフランス料理のイメージで、「グルメ列車」と呼んでいる、列車がフランス料理になってる場面が作品に登場しているのです。
写真をみんなにプレゼントし「大成功だ!」とご満悦。これで緊張も解けましたね。
みなさん「すごいものをもらった」と少々戸惑いながらも喜んでくださいました。レアですよ〜
次に訪れたのは、すぐ近くの会場「奥村家住宅」。
ヒラトモさんは、早速美保さんガイドにタッチ!
美保さんガイドを聞いた後は、それぞれの作品の解説をしてくれました。
「米田さんのも聞いてみよう」「確かに聞きましたよね」渦巻模様がが集積された陶器作品を見て「中華麺の柄」とユニークなコメント。
座敷に上がる時は「お座敷から脱ぎ侵入」とヒラトモ節が炸裂。
じっくり作品を鑑賞するヒラトモさん。B万里絵さんの作品を見て「お昼過ぎの出来事、一人はここで見ていたんだ」と詩的なコメントも。作品からイメージを膨らませていますね。鑑賞するヒラトモさんを見て、改めて美保さんガイドに感謝。
参加者の皆さんも美保さんガイドを首から下げてくださり、さながら美保さんツアーのようです。
その後は、町なかの美保さんガイドの案内板が店頭に置いてあるお店を巡りながら、お堀の方に向かいます。町屋が点在する町並みを歩きながら「昔ながらのエピソードかも」と昔話が大好きなヒラトモさんは楽しそう。
クレープ屋さんや食堂のガイドを聞き、お堀を散策。
たくさん歩いてお腹が空いてきた頃、美味しそうな近江牛のコロッケ屋さんが現れました。「コロッケ食べませんか」とのスッタッフの提案も「まだ早い」と一蹴。町歩き会が終わるまではお預けと、ストイックなヒラトモさんでした。
ヴォーリズ建築の近江八幡教会を見学させていただき、同じくヴォーリズ建築の素敵な建物の中にあるナッツ屋さんでお買い物を楽しみ、記念の集合写真を撮って、楽しかったイベントの幕を閉じました。
ヒラトモさんを先頭に美保さんガイドを首から下げた人々が、近江八幡の町なかを巡り歩く。
美保さんガイドのアテンドで、ヒラトモさんとみんなで創ったパラレルワールドを遊ぶツアー。
いつもの近江八幡と違う「ちかくのまち」に出会えたひと時でした。
(朝比奈)