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2019年10月24日

平野智之出展「ちかくのたび」への旅

1.jpg膨大な雨を降らせた台風が過ぎ去り一気に秋が深まった10月16・17日、近江八幡のボーダレス・アートミューアムNO-MA他周辺5会場で開催中の「ちかくのたび」展へヒラトモさん・ご両親と一緒に訪ねました。
ヒラトモさんとの旅は、いつも様々な出会いやハプニングに遭遇するのですが、さて今回は…

まちや倶楽部「ミクロコスモス」
まず最初に、ヒラトモさんが近江八幡を観光して制作した新作と、観光の様子を記録した映像が展示されているまちや倶楽部を訪れました。新作は、短期間に制作されたとは思えないクォリティーの高さ!
秘密ですけど… 編集能力の高いヒラトモさんは、制作中の美保さんシリーズの中からピッタリのシーンをチョイスし近江八幡シーンをプラス、あら不思議!魔法のように近江八幡観光ストーリーを創りあげたのでした。
そしてラストは衝撃的なハプニング!ぜひ会場でご覧ください。
ここには新作以外にもNew美保さんシリーズを大きなスクリーンでみることができます。
New美保さんシリーズを映画のつもりでつくっているヒラトモさん、酒蔵の薄暗い空間にある大きなスクリーンは、映画館のようなので嬉しそうな笑顔。
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前回のブログ記事でお伝えしましたが、この展覧会は鑑賞サポートの様々な取り組みが工夫されており、そのひとつとして美保さんのぬいぐるみが音声ガイドの受信機になっています。美保さんのぬいぐるみを首から提げて、美保さんの右足をキャプションの土足マークにタッチすると、イヤホンから美保さんの声が聞こえます。作品の情報を教えてくれたり、ほのぼのトークで楽しませてくれますよ。(ヒラトモ語録「美保さんのぬいぐるみはアニメと実写版が合体」)

さっそくここで、最初の出会いが。展覧会のサポーターとして記事を書き発信するNO-MA記者クラブの松本さんが、ヒラトモさんの取材に来てくださいました。お茶目なヒラトモさんは、自分の名刺を作品の上に載せ松本さんにお渡しします。
調子が出てきたヒラトモさんは自作の説明をしたり、会場ボランティアさんにも名刺をお渡ししたり、「近畿イベント」映像(近江八幡観光のことをこう呼んでいます)を見て大声で思い出を話してくれたり、大はりきりでした!
そのうち首から提げた美保さんのぬいぐるみにアテンドされて、会場の他の作家さんの作品を見に行きました。今までヒラトモさんは、自分の作品以外の作品に興味を持つことがなかったのですが、美保さんのぬいぐるみの音声ガイドが聞きたくて他の作品に興味を持ったようです。
鑑賞サポートはとても効果がありますね!
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奥村家住宅「手で観る世界」
次に訪れたのは、触って作品を楽しめる展示がされている奥村家住宅。
ヒラトモさんの作品と、原画を元にレリーフ状に立体化された白いボード(ヒラトモ語録「彫刻バージョン」)が併設されています。
見た目は全て白く統一されていますが、よく見ると美保さんの部分は有機的な丸みを帯びたライン、背景や電車などの無機物はエッジの効いたライン。なんと二種類の素材が使い分けられているそう。美保さんは樹脂粘土で丁寧に手作りされ、背景や電車などはMDF(ファイバーボードの一種)をレーザーカットしてカッチリ作ってあり、その違いも味わえます。
立体化に当たっては、作家がどのような意図や気持ちで制作しているのかを一番に考えて進めてくださったそうです。ヒラトモさんは美保さんには着色するけれども背景などは着色しないのですが、その違いを二種類の素材で表現しているそうです。細やかなご配慮ありがとうございます!
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ここでまた新たな出会い。NHK大津放送局の南野さんに取材を受けました。
美保さんのぬいぐるみのアテンドでウキウキ絶好調のヒラトモさん。自作の説明はいつものヒラトモ節。独自の言い回しで絶好調にしゃべりまくります!
「つまり、どうしてかというと、だから…」接続詞は期待を裏切り、違う展開へ延々と話は続きます。ヒラトモさんにとって接続詞は言葉をつなげるための合いの手で、言葉のリズムをつくっているのですね。意味がよく分からなくても惹きつけられてしまうのは、一生懸命伝えようとしている気持ちが伝わってくるから。
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その取材中に印象的な言葉に出会いました。
「1999年に成長した」
えっ!いったい1999年に何が…。
ヒラトモさんが自分の内側のお気に入りの世界から最初に外の世界に目覚めたのは、小学5年生の移動教室だそうです。
そして1999年、12才、遠いところへ旅行に行って成長したそうです。
ヒラトモさんが自分の世界の扉を開けて外の世界に興味を持ったのが、ちょうど思春期にさしかかったこの頃なのかもしれませんね。
ヒラトモさんにとって「旅行」は遠くの世界に行ける特別な体験。「乗り物」が運んでくれる遠くの場所はワクワクする世界。憧れの大好きな美保さんが旅行するストーリーは、ヒラトモさん自身の好きなものや願望、こだわりを詰め込んだストーリーなのです。
作品に対するモチベーションの高さが改めてわかりました。
そうそう、ここではお世話になっている学芸員の横井さんに再開して、美保さん土足三色の絵をお土産としてお渡ししました。前々からしっかり用意していたので、ヒラトモさんの嬉しい気持ちが伝わってきました。
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ボーダレス・アートミュージアムNO-MA「あふれる音」
NO-MAの二階にはヒラトモさんの大好きな映像作品がありました。
八幡山ロープウェーや八幡堀の舟から撮った映像が流れています。「舟は沈没するから乗りたくない」と、ドブや沼などに落っこちるシーンが大好きなヒラトモさんですが、実は舟やロープウェーは苦手なんです!
前回の観光では、ロープウェーに乗れたので自信がついたようです。NO-MAの二階に望遠鏡が設置されており、八幡山ロープウェーが見られるようになっていて、熱心に「ロープウェーのすれ違い」を眺めていました。「すれ違い」は「出会い」でもありますね。
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翌日は再び「まちや倶楽部」へ
この日も会場ボランティアさんに名刺をお配りし、作品説明をして交流しました。ヒラトモ節を楽しんでくださり、ありがとうございます!
「ちかくのたび」展は、様々なサポーターの方が関わっており、地域に根ざした活動であることを肌で感じました。会場ボランティアさんは、どこの会場でも気さくに話しかけてくださり、「尾賀商店」では、展覧会を共につくっているキュレーションサポーターさんたちの成果展示もされていました。歴史ある街の文化の厚みを感じます。

お昼は会場ボランティアさんお勧めの「三松食品店」へ
三松食品店さんは、お惣菜屋さんなのですが、好きなお惣菜を選んで奥の座敷で食べられるスタイル。手作りの家庭的なお惣菜を町家の落ち着いた座敷でいただき、ほっこり。
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八幡山ロープウェー展望館「とある国のお話」
昨日NO-MAの二階の望遠鏡で見ていたロープウェーに乗り、展望館へ。実際のロープウェーのすれ違いを楽しみました。
展望館では美保さんのぬいぐるみを嬉しそうに持ちながら、遠くの新幹線を飽きることなく眺めます。
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今回の展示では、今まで人の作品には全く興味を示さなかったヒラトモさんが、美保さんのぬいぐるみのアテンドで、それぞれの会場の作品の音声ガイドを積極的に聴き、作品を見て回ったことに驚きました。
美保さんのぬいぐるみは、新しい扉をあけるための「魔法のカギ」になりましたね。
これからもいろんな扉に出会うでしょうけれど、創意工夫をすれば「魔法のカギ」は作れるのかもしれませんね。
私たちにとっては、ヒラトモ作品が「魔法のカギ」です!

その後、私はヒラトモさんご家族と別れ、気になった展示を観に「寺本邸」へ。
寺本邸は180年ほど前から近江瓦を製造販売していた方のお屋敷です。
現在はどなたもお住まいではないお屋敷の、時が止まったかのような空間に裸電球の灯りがともり、部屋の隅は闇に沈んでいます。
私は、谷澤沙和子さんと芥川賞作家 藤野可織さんのコラボを密かに楽しみにしていました。藤野さんの「爪と目」を事前に読み、予習もしっかり!
プリミティブで土着的な香りのする谷澤さんの作品と藤野さんの小説は、空間に溶け込んで、非日常的な気配。自分が信じている裏側の世界をのぞき見るような怖さを感じました…
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20.jpgたっぷり堪能した「ちかくのたび」展。
11月24日まで開催しております。
八幡山の紅葉が楽しめる11月。
ぜひ知覚全開でお楽しみください。
(朝比奈)
posted by La Mano at 00:00| Comment(2) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
美保さんの人形制作をしました山田です。
息子にブログを教えてもらって、記事を読ませていただきました。
美保さん制作は時間との戦いで、開催日まで間に合うか、夜も寝れない日もあったんですけど、作品の魅力、そしてヒラトモさんが人形の美保さんをとても気に入ってくださってること、そしてご自身も新しい作品を頑張られてること、それを心の支えに、頑張って作りました。
今この記事を読ませていただいて、頑張って作って本当に良かったと心から思いました。嬉しくて泣いてしまったくらいです。
わたしは日曜日に、大学時代のともだちと見に行きます。この記事のおかげで、楽しむ視点がもっと増えた気がします。
ヒラトモさんにどうぞよろしくお伝えください。
Posted by 山田由紀子 at 2019年10月24日 15:50
山田由紀子さま
この度は、素敵な美保さん人形を制作していただき、心から感謝いたしております。
ヒラトモさんは本当に美保さん人形を気に入ってくださり、ずっと抱えていましたよ。
NO-MAスタッフの方も、美保さん人形をお借りするときや返すとき、「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」と話しかけていました。皆さんに愛されていて嬉しいです。
Posted by 朝比奈 at 2019年10月24日 16:25
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